家族がケーキを買ってきたらどうする?
目の前に出されたケーキを食べてしまっても、意志が弱いからではありません。
食べざるを得ない状況に、身を置いてしまった時点でアウトです。
なぜなら、人間の判断には「現在バイアス」という強い偏りがあるから。
ダイエットを優先して、甘い誘惑を拒否すれば、将来的に理想の体が手に入り、大きな満足が得られます。
でもそれは、今すぐ手に入る小さな幸せの前に、霞んで見えるのです。
「現在バイアス」の存在を提唱したのは、アメリカ人のダニエル・カーネマン。
2002年にノーベル経済学賞を受賞した、行動経済学者です。
今すぐの利益(目の前のケーキ)を我慢すれば、理論上は、将来においてもっと大きな利益(ダイエットに成功)を得られます。
従来の経済学における人間は「自己の利益を最大化するため、合理的に行動する」と想定されていました。
しかしそれに、異を唱えたのがカーネマン。
人類の脳は、コンピュータではありません。
「わかっちゃいるけど、止められない」のが人のサガだと、主張したのです。
ただし、ダイエットにおいてそのバイアスを、知ってるかいないかは、大きな違い。
自分の意志が、いかにアテにならないかを自覚すると、ダイエットの成功率は上がります。
行動経済学的にも、「賢い」とされるのはそういう人。
「現在バイアス」が起動する状況を、遠ざけるのが上手です。
そもそも、お菓子を家に置きません。
家族や同僚や友達に、ダイエット宣言をしています。
飲み会やパーティーに、誘われないようにするためです。
賢い彼らは、知っています。
全てのダイエッターは不条理な生き物で、インスタントな報酬の前では、数ヶ月後の理想体型など吹き飛ぶことを。
だから、あらかじめ手を打ちます。
周囲の環境を整備して、「現在バイアス」が発動する場面を作りません。
だからこそ目標達成まで、走り続けることができるのです。
自分の心の傾向と、脳のクセを知ることで、ダイエットは、少しだけ簡単になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※薬を服用中の方、持病のある方、健康に不安のある方は、まず主治医にご相談ください。